In 2024

Multifaceted Possibilities of Agio

FUJI FURNITUREの成型合板技術の代名詞とも言えるAgio。
その原形となるロゼッタ誕生から47年間、数々の派生アイテムとマイナーチェンジを繰り返しながら移りゆく時代をけん引するかのように進化してきました。
これまでの歴史を振り返ると、ロゼッタからAgioまでの7つの製品を軸に、40を超える製品が派生しています。フレームやクッションの形を変えながらも、そのアイデンティティの一貫性を私達に感じさせてくれます。
世界情勢や住宅事情が変わろうとも、それぞれの時代のインテリアに寄り添ってきたAgioは、生活への意識が変化したことで、個々が選択する”生きる”、”働く”という価値がめまぐるしく更新されている現代においてホームユース家具という固定概念を見直すきっかけを与えてくれました。
どの時代においても私達の暮らしに優しく寄り添ってきてくれたAgio。その魅力をルーツをたどりながら紐解き、今後のAgioの可能性についてご提案します。

Agio’s Family tree

1959年に創業したFUJI FURNITURE。
創業当時の日本では洋風化が進みつつあり、その流れを先取りするかのようにFUJI FURNITUREは洋家具販売を拡大してゆきました。
その後、生活空間とは別に客人を招き入れる応接間を構えることが住宅空間の流行となり、主力商品であった総張りの応接セットは、当時のFUJI FURNITUREの成長を支える重要なアイテムとなりました。
1977年、更なる発展を求め海外の家具へ目を向けた際、成型合板技術を使用した北欧の製品に影響を受け、木のフレームが主役となるような製品開発を目指し、成型合板技術に取り組み始めました。
繊細な加工技術に苦戦の末、今のAgioの原形となるロゼッタ(L00480)が誕生しました。ロゼッタは徐々に人気を獲得し、当時人気を博していた応接セットの次を行く売り上げを達成しました。

1979年には、ロゼッタの後継となるメモリー(L01070)が誕生しました。
成型合板の初期モデルロゼッタは後ろ脚が短く背角があまりついていないフレームに比べ、2号モデルのメモリーは後脚の形状が見直され長くなり、背と座の接合位置をずらしたことで背フレームが体重を受けやすくなり、しなりを利用したバネ感を更に活かせる形になりました。
また、ロゼッタはフレームにあけられた穴に通されたナイロン製ロープを弾性体として使用していましたが、メモリーでは専用のゴム板が使用されるなど、製作面でも改良が大きく加えられました。
メモリーのフレームは、以降の派生アイテムにも受け継がれ、現在のAgioにもその面影が残っています。

高度成長期、“本物志向”や“高級志向”のニーズが浸透し、豊かでより快適な住生活が求められるようになりました。
生活様式においてもフローリングのある住宅が増加し、ダイニングやリビングでの家具のトータルコーディネートが好まれるなどインテリアにおける人々の考え方が大きく変化しました。
FUJI FURNITUREでも人々の志向の変化に対応すべく、ダイニングやリビングだけでなくベッドルームやプライベートルームなどといった空間の家具も扱うようになり、総合家具メーカーへと進化しました。
創業当時からのヒット商品である応接セットや重厚感あるアイテムが好調にヒットする中、ロゼッタやメモリーといった成型フレームは影を潜めはじめロゼッタ型はL03160を最後に廃番となりメモリー型へと集約されることとなりました。
その後も、弾性体を帆布に変更したり、仕上がりにこだわった素材の選定など工夫を続けましたが、発売当時の勢いを取り戻すことはできませんでした。

バブル経済崩壊後は日本の景気は急速に後退し、金融引き締めの影響から住宅着工数も大幅に減少した影響で家具業界にも大きな打撃を受けました。また、生活スタイルや住宅の間取りの変化も急激に進み、FUJI FURNITUREでの主力商品は応接セットからリビングやダイニングへと変化しました。
更に海外製の安価な家具への需要が拡大し家具の価格破壊が起こるなど、様々なことが急激に変化する流れを読み対応することが難しくなっていました。
そんな中転機となったのは、L07290でした。脚部分の曲線の角度を変更、更に座角をつけることでよりゆったりと寛ぐことができる座り心地に生まれ変わりました。また、サイズや性能違いのラインナップを取り揃えたことでお客様の人気を獲得し、11の製品が派生するほどのヒットアイテムとなりました。

2000年代に入ると、1世帯に暮らす家族が小さくなり、核家族化が進みました。その影響で住宅の間取りにも変化が生じ、限られた空間を最大限有効に活用するため、リビングとダイニング空間の区切りを曖昧にしたLD空間のある住宅が増加しました。
FUJI FURNITUREので商品群でもLDセットとして、ダイニングセットでありながらゆっくりと寛ぐこともできる商品が増え始めました。
L07290から派生したL07950は、これまで頒布で覆っていた背面を、木のスポークをあえて見せる仕様に変更することで、お部屋の真ん中に置いて背面のデザインを楽しめるソファとして更に人気を加速させました。

2010年、現在のAgio(L08310)が誕生しました。
世界的に環境意識が高まりつつある中、良いものを長く使いたいという思考を持つ人が増加しました。セパレートタイプのAgioは、1シートずつの購入が可能な上、肘の付け外しをして2シート・3シートと連結できる点、傷んでしまった部分のみを交換できる点などが好評を受け、今ではFUJI FURNITUREのソファの中でも最も人気な商品となりました。2014年には、炭素繊維を樹脂で固めたカーボン素材を使用したAgioの研究など、新しい素材を活かす開発が行われました。

2014年、L08310のカバーリング仕様となるL08670が誕生しました。
これまでは布地や革の取り外しができない張り込み仕様でしたが、見た目は全く変わらずにクッションのカバーが取り外せるようになりました。ウォッシャブル対応の張地ですとご自宅でのお洗濯が可能となり、お手入れが簡単に行えます。また、カバーのみの購入も可能な為、カバーを変えて空間の雰囲気をガラッと変えることができます。お気に入りの家具を長く使い、交換が必要になればその部分のみを取り変えることができる仕様は、環境への負担を減らすことに繋がります。

今、人々は何を必要としているのか、どのような暮らしや働く形を思い描いているのか。
移ろいゆく時代とともに人々の過ごし方や住宅事情、流行などを受け、家具に求められる要素も同じように変化して行きます。これまで培ってきた知識や技術をもとに、より解像度の高い理想像へと近づけるよう、当たり前とされている物事に常に疑問を持ちながら、AgioとFUJI FURNITUREはこれからも進化を続けていきます。

近年、生活への意識が変化したことで、多くの人が生きることや働くことの価値について見つめ直すきっかけが生まれました。仕事をする場所について改めたり、それによって家をより快適な空間にしたいという考え方が増加したように思います。これまで無意識にホームユースの家具という固定概念を抱いていたAgioを見つめ直すと、セパレートタイプだからこそできる可能性に気づかされました。ここでは、私たちの生活に溶け込むAgioの多様性について提案します。

personal / common

personal / common

市松模様のようなレイアウト。個々の時間と周囲との時間を程よく共有できるレイアウトです。コンパクトな配置のため、限られた面積でも複数のセットが用意でき、多くの人が利用しやすい空間を演出できます。背中合わせにするとパーソナルスペースの確保ができ、内向きにするとコミュニケーションの活発化が図られます。

open / fun

open / fun

3脚を三つ葉のように並べるレイアウト。それぞれに程よい距離感があり、Agioをどちらの向きで使っても開放感を感じられます。背を向けて座ると、隣り合う人が視界に入りづらく一人の時間に没頭できるプライベート空間が生まれます。内向きに座ると、程よい距離感がもたらす安心感があり話しやすい環境を作ることができます。また、公共空間に置かれている場合、空いている席に座りやすいといったメリットがあります。

private / enjoy

private / enjoy

十字のようにクロスさせるレイアウト。open / funに1脚加えただけでも、Agioがもたらす印象に少し変化を与えます。背中合わせにする場合は、一人の時間を楽しみつつも周囲を意識でき、声もかけやすい距離感です。内向きにすると、和気あいあいとした会話が弾む空間を想像できます。複数の動線が生まれるため、偶発的に会話が生まれやすいのもこのレイアウトの特徴です。

independence

independence

お互いの顔が向き合わないことから、プライベートな空間が確保でき、一人の時間に専念できるレイアウト。学習スペースや待合室など、不特定多数が使用する空間から、リビングなどのホームでの使用に至るまで、様々なシーンが想像できます。サイドテーブルを用いることで個々の時間をより充実させたり、隣り合う人との時間を共有できるなど、選択の幅が広がります。隣り合う人との接点が生まれますが、直接顔が見えないことによって緊張感が少なく落ち着いた時間を過ごすことができます。

relax

relax

複数のAgioを横並びにするレイアウト。友人とお茶をしながら会話を楽しんだり、家族との団らんや1人でゆっくり映画を観たり、シートに横になって休憩したりと、Agioの周りには穏やかな時間が流れます。両端に肘を付けて両肘ソファとして使用するも良し、肘を外して広々と贅沢に使用するも良し。空間に合わせて快適な時間を堪能できます。

ここでは5つのレイアウトをご紹介しましたが、空間・目的・人数によってAgioはあらゆる置き方ができ、様々に変容します。軽量さや、セパレートタイプなど、Agioの特徴を活かした自由なレイアウトで、お客様一人ひとりのライフスタイルに寄り添います。

The Cycle of Regeneration

持続可能な未来に向けて、サスティナブルやSDGsといった活動を日常のあらゆる場面で目にすることが多くなり、人々の意識が変わっていることが分かります。近年、世界ではサスティナブルやSDGsの先を行く概念としてリジェネレーションという考え方が注目されています。ここでは、そのサイクルとFUJI FURNITUREとの関連性について紐解きます。

Regeneration

近年、リジェネレーションという言葉が叫ばれるようになった背景には、環境問題が深く関係しています。
リジェネレーションとは、サスティナブルの一歩先を行く考え方です。サスティナブルの主な目的は、現状を維持すること。環境に対して配慮をし、広がり続ける負の影響を抑制するための施策です。人々が環境問題に対しての意識が高まり、エコ活動やサスティナブルな活動が増えていく中でも、近現代の工業型産業によって、世界各地で環境破壊が見られるようになりました。それに伴い地球温暖化や異常気象が問題視されるほど、現状維持では補いきれない領域まで踏み込んでしまっているのです。
そこで、サスティナブルよりも先を見通したリジェネレーションという考え方が生まれました。リジェネレーションは、再生や回復を目的とした施策を指します。荒廃した土壌や海の生態系を取り戻すために実際に環境にとってプラスとなる取組みを行うことが重要な要素として考えられるようになりました。

Forest

年々深刻化する環境問題に対してカーボンニュートラルの実現に向けて取り組みや活動がなされています。カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出を実質ゼロ」にする事を意味します。脱炭素を目指して取組みを進める中でどうしても削減できなかった二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と森林が吸収する量を均衡にするという考え方です。
よって、カーボンニュートラルの実現において、森林の管理や保護は重要な役割を持つと考えられています。

Forest

年々深刻化する環境問題に対してカーボンニュートラルの実現に向けて取り組みや活動がなされています。カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出を実質ゼロ」にする事を意味します。脱炭素を目指して取組みを進める中でどうしても削減できなかった二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と森林が吸収する量を均衡にするという考え方です。
よって、カーボンニュートラルの実現において、森林の管理や保護は重要な役割を持つと考えられています。

40 Years

植物は光合成により根や葉から吸い取った水(H2O)と空気中から吸収した二酸化炭素(CO2)を分解し、成長に必要なデンプンなどの炭水化物を生成します。生成において不要となった酸素は空気中に放出し、炭素や水素は植物の中に蓄積されます。
一本の樹木においてこのサイクルが効率よく行われる年数は約40年前後と言われています。樹齢40年を過ぎた木は、周りの植物がストレスなく成長できるために間伐を行うことが推奨されており、間引きされた樹木は、これまで吸収してきた炭素を多く溜め込んだ状態を維持しています。これを焼却処理すると、溜め込んだ炭素が空気中に放出されてしまいます。そのため、これらの木材を積極的に活用することで、空気中への炭素放出を抑えることができるのです。

Slice

木材を木取りして無垢材として使用する場合、大きな節や傷、色味が良くないところを避けて使用するため、一本の木から採れる実際の使用原料の割合である歩留まりは約30%程と少なくなってしまいます。同じ材料を成型合板の材料とする場合、木材を薄くスライスして重ねて使用するため、それらのナチュラルマークを避けることは少なくなり、歩留まりを60%程まで引き上げることができるため、資源を無駄なく活用することに繋がります。
※ここでの歩留まりとは、原材料(丸太の材積)に対して加工後の材積がどれくらいになったかを示しています。

Slice

木材を木取りして無垢材として使用する場合、大きな節や傷、色味が良くないところを避けて使用するため、一本の木から採れる実際の使用原料の割合である歩留まりは約30%程と少なくなってしまいます。同じ材料を成型合板の材料とする場合、木材を薄くスライスして重ねて使用するため、それらのナチュラルマークを避けることは少なくなり、歩留まりを60%程まで引き上げることができるため、資源を無駄なく活用することに繋がります。
※ここでの歩留まりとは、原材料(丸太の材積)に対して加工後の材積がどれくらいになったかを示しています。

Plywood

薄くスライスした単板を成型合板として使用します。
無垢材を使用して家具を製造する場合、接合部分が複数生じるため、それぞれの接合部が強度面の弱点となってしまいます。一方で、成型合板は一繋がりになっているパーツのため、負荷が分散され、破損や変形にとても強くなります。少ない材料で強度のあるパーツが作成できるというのも成型合板の特徴であり、資源を必要最小限に抑えることができます。

Repair

Agioの場合、フレームのパーツは全てボルトとダボで固定されています。
長くご愛用いただく中で、フレームが傷んでしまった場合、傷んでいる箇所のパーツだけを交換することができます。クッションは背と座で分かれており、どちらか片方のみの交換も可能です。また、Agioには張り込み仕様とカバーリング仕様の2種類があり、カバーリング仕様の場合はお手入れが簡単に行える上、張地を変えてカバーのみの交換も可能です。
フレームもクッションも全交換の必要がなくなるため、環境への負担を軽減でき、同時に交換費用も抑えられます。

Repair

Agioの場合、フレームのパーツは全てボルトとダボで固定されています。
長くご愛用いただく中で、フレームが傷んでしまった場合、傷んでいる箇所のパーツだけを交換することができます。クッションは背と座で分かれており、どちらか片方のみの交換も可能です。また、Agioには張り込み仕様とカバーリング仕様の2種類があり、カバーリング仕様の場合はお手入れが簡単に行える上、張地を変えてカバーのみの交換も可能です。
フレームもクッションも全交換の必要がなくなるため、環境への負担を軽減でき、同時に交換費用も抑えられます。

Recognition

リジェネレーションのサイクルは、企業などの大きな組織が行動することでより影響力を持ちますが、一個人としてもそのサイクルに加わることができます。その初めの一歩は、リジェネレーションという取り組みについて認識し、正しく理解することではないでしょうか。環境について考える人々が増加することで、一人ひとりの行動や意識が変わっていき、それが環境を守ることへと繋がると考えます。

リジェネレーションに対してFUJI FURNITUREができることについて考えた時、これまで個々が行っていた取り組みを点から線へと繋いで行く活動がとても重量であると考えます。リジェネレーションの活動が広く認知され、次世代へと繋がっていくことを目指して、FUJI FURNITUREができる最善の活動を続けて行きます。

IFFT2024_slide_001
IFFT2024_slide_002
IFFT2024_slide_003
IFFT2024_slide_004
IFFT2024_slide_005
IFFT2024_slide_006
IFFT2024_slide_007
IFFT2024_slide_008
previous arrow
next arrow

出展商品

肘無ソファ L08310 N
ワイド左肘ソファ L08670H
ワイド肘無ソファ L08670U
ワイド右肘ソファ L08670M
リクライニングチェア P04840A
スツール X02460Z
ロゼッタ L00480(廃番)

詳細は Productsページ をご確認ください。
品番は張り込み仕様の場合 L08310、カバーリング仕様の場合 L08670となります。

*塗装色の品番は以下の通りです。
ブラック:BP(オーク) / グレー:GP(オーク) / ナチュラルホワイト:特別色(オーク) / ホワイト:特別色(オーク) / ライト:LP(オーク)

*張地の品番は以下の通りです。
Triangle 792(TR79) / Triangle 772 / Triangle 932 / Triangle 732 / Triangle 292(TR29)
Remix3 866(RM86) / Remix3 422(RM42)

塗装色の特別色や張り地、価格につきましては Contactフォーム よりお問い合わせください。